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2006年07月28日

土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)

暑気が土中の水分を蒸発させて蒸し暑い頃、という意味。
溽暑(じゅくしょ)は、蒸し暑いことを意味します。今年は7月28日が「土潤溽暑」、大暑の次候、立春から第35候にあたります。年齢のせいか、最近、どうもこのような昔風の季節感、和風の慣わしのみたいなことが気になるようになってきました。

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二十四節気は太陰暦の時代に季節を現すために、1年を24等分して名前をつけたものですが、七十二候はその二十四節気をさらに3つの候に細分し、季節の移ろいを、気象や風景、動植物の成長・行動などに託して表現したものです。ただ、1候の単位が約5日間と短いため、地域差や年毎の気候の違いなどにより、からなずしも現実とあっているわけではないようです。あくまで目安と考えた方がいいかもしれません。また、七十二候は中国で生まれたもので、日本に伝わってから、日本に生息しない動植物などの名前を入れ替えるなど、時代・地域・編者によって多くの版があるようで、どれが正しいというものではありません。

PL060728-08.jpg都心では土のみえる場所がどんどん減っています。「草いきれ」なんて季語として覚えているだけで、実感する機会はほとんどないかもしれません。
そのかわりではありませんが、夏の日中、アスファルト舗装の道路を歩いていると、舗装そのものが熱をもっていて、道路に立っているだけでも倒れそうなほど暑く感じます。道路の表面温度は、真夏の晴天時には、70℃以上に達するといいますので、暑いというよりは「熱い」が正しいのかもしれません。

PL060728-15.jpgこのような、歩行者空間や沿道の熱汚染環境を改善するために、「保水性舗装」が開発されました。
保水性舗装は、舗装体に水を保留しておく能力を持たせ、その水分が蒸発する時の気化熱により路面温度の上昇を抑制する性能をもつ舗装です。東京名物のお菓子「雷おこし」を思い浮かべてみてください。雷おこしのような隙間がたくさんあるアスファルト混合物に、吸水・保水能力の高い物質(鉱物質や樹脂などの細粒材)をしみ込ませたものです。実際に公道で使われており、見た目はかなり白っぽいのが特徴です。
東京都の調査(新宿区)では、普通の舗装と比べ、道路表面温度で約10℃の温度低減が確認されました。

さて、「日本中の道路の舗装を保水性舗装に替える」なんてことは、なかなかできることではありませんが、すぐにでも同じ効果が期待できる素晴らしい方法があります。

……打ち水。

深刻化するヒートアイランド現象への対策のひとつとして、土木研究所(現独立行政法人)が「水をまくことによって奪われる気化熱が気温を下げる」という単純な現象に着目しました。都内で散水可能とみなされるエリアに、1m2につき1リットルずつ水をまくとして試算してみると、なんと気温が2℃下がるという結果が出たのです。この興味深い「机上の理論?」を社会実験に仕立てようと、2003年夏、「大江戸打ち水大作戦」がNPOを中心に始まりました。
2006年春、メキシコで行なわれた「第4回世界水フォーラム」下水処理水利用のセッションでは、打ち水大作戦が事例として報告されました。会場の拍手喝采を浴び、各国の来場者から「打ち水」を是非やってみたいという声が上がったそうです。類まれな環境循環都市であった江戸由来の打ち水文化が今や世界に広がろうとしているのです。
ご興味のある方、詳しい活動はサイトをご覧になってくださいね。
http://www.uchimizu.jp/06/index.html
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今年2006年は、7月23日大暑が開幕打ち水、8月23日処暑が閉幕打ち水です。私たちも、8月23日の正午の「全国いっせい打ち水」イベントに参加してみてはどうでしょうか。ご家庭で、学校で、職場で。どんな環境でもできます。

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PL060728-02.JPG ルールが一つだけあります。
水道水は使いません。水の2次利用をしましょう。雨水を溜めたもの、お風呂の残り水、プールの水などです。

投稿者 MCAT : 2006年07月28日 18:24

コメント

「打ち水」、素敵な言葉ですよね。聞いただけでも、涼しさを感じます。昔の人は偉かった、今みたいに電気も何もない状態で、夏の暑さを乗り切る術を心得ていたのですから。今、外から涼しげな風鈴の音がします。風とともに風鈴の音が、涼しさを倍増させてくれる気がします。体感温度は変わりませんが、感覚的温度(?)が下がるような。。。
我が家では、MCATさんに倣って、エアコンに頼らない生活を試みています。部活帰りの息子にはちょっとつらいかもしれませんが、それでも「エアコンつけなくてもいい」と言っているので、団扇や扇風機の風でやり過ごしています。下の息子は、あせもでかゆいみたいですが。

アスファルトって、足元が汚れない優れものではあるけれど、雨が降ると川のようになり、転ぶとひどい怪我。自動車に優しいばかりでなく、周りに住む人間にも優しいものであるといいですね。保水性アスファルトって、保水性は高いのでしょうか。吸水性は素早いのかしら。水溜りで、水をはねられるのが、いやなので。

投稿者 miffy : 2006年07月29日 11:37

 いつも、きれいで素敵なブログで、次回が楽しみです。
 「つちうるおうてむしあつし」、素敵な言葉だなあと思います。
 先日、京都の祇園を歩いていると、人だかりがしていて、見に行くと、一力の門のところに、舞妓さんが沢山いました。人だかりを見知らぬ振りしながら、きれいでしょ、どないです、という感じで、堂々と見せつけていたと思います。本当にきれいでした。高そうな、きれいな着物を幾重にも着て、暑そうなのに、ご苦労様でした。打ち水が丁寧にしてあるのが門から見えて、すずしそうで、中に入ってみたいなあと思いました。
 以前、NHKテレビで、京都の裏千家で、お茶会の準備をしているのを見ました。打ち水はもちろんのこと、庭の葉を一枚一枚拭いているのを見て、驚きました。灰型を作っているのを見て、さらに驚き、ごめんなさい、笑ってしまいました。
 先週、「世界一受けたい授業」の、山本良一先生の「気候変動+2℃の世界 ~今、行動を起こさないと、人類は危ない!~」を見ました。2028年には+2℃になる予定だそうです。気候変動を防げるかどうかは、まさに今年どうするかがターニングポイントになるというようなことをおっしゃていました。
 昔、森林を伐採するから、割り箸はやめましょうとよく言われた時期があったと思います。歌手の今井美樹さんが、レストランにお箸箱を持って行って使うと言っていたと思います。今も持って行っているのか、ちょっと知りたいです。
 普段の努力がとても大事なのは、よくわかります。ですが、忙しい時もあり、ボランティア的でもあり、ずーっとその気持ちを持ち続けるのは難しいかもしれないし、世界の+2℃を防ぐという目的を達成するには、しかもまさに今年防ぐには、ちょっと小さいかもしれないとちょっと思います。
 記憶が定かでないのですが、どこかの国で、道にゴミを落としたらいけないという法律があって、警官に捕まるか罰金かで、その国はゴミが落ちてなくて、きれいというのを聞いたことがあるような気がします。
 税金をかける、法律で使用を禁止する等、抜本的な改革が必要かもしれないなあとちょっと思います。その経済効果等、影響は全然わかっていませんが、京都議定書の京都のある国ですから、世界貢献の仕方として、世界に先駆けて実行する国というのもいいかもしれないなあとちょっと思います。

投稿者 一口カステラ : 2006年07月30日 02:00

吉田兼好も徒然草に「住まいは夏を旨とすべし」と書いていますよね。夏の暑さを乗り切るために、昔からさまざまな工夫が編み出されてきました。それらの貴重な智恵を忘れて、何事も機械に頼ってしらんぷり……というのは情けないように思います。
風鈴の音はほんとうに素敵ですよね。江戸風鈴のガラスの音も、南部鉄風鈴の音も。

舗装の件。

私の浅い知識で概要をメモしてみます。
「道路」をご専門とされる方、もしよろしければ、説明を補足(または訂正)してください。よろしくお願いいたします。

● 保水性舗装は……
アスファルトの表層部分に吸水・保水する能力があり、浸透性舗装にもなるので、保水能力を超える雨が降ると涵養されます。激しい雨でも水溜りはできにくいです。

● 浸透性舗装というのは……
これも隙間の多い舗装材(透水性のアスファルトやブロックやコンクリートなど)を使い、降った雨を地下に浸透させる舗装です。雨水によって路盤が緩みやすく強度に問題が出る可能性があるので、車道より歩道に多く使われています。水溜りができないようにするだけでなく、地下水の水循環が改善され、地中生物や植生を活性化することにも貢献します。

水溜りをつくらないという目的であれば、排水性舗装というのもあります。

● 排水性舗装とは……
多孔質なアスファルト混合物を表層に使って雨水を透水させ、その下に不透水性の層を設けて流し、雨水を排水処理する舗装です。路盤以下には水が浸透しない構造で道路の強度が確保されます。

投稿者 MCAT : 2006年07月30日 04:05

7月30日にコメントしましたが、
社会全体で取り組むのも大切ですが、個人レベルでの取り組みも大切だと、外を歩いていて思いました。

投稿者 一口カステラ : 2006年08月06日 04:33