« 2006年08月 | メイン | 2006年10月 »

2006年09月17日

交代します

リレー・ブログのバトンを次の方に引き継ぎます。
どうぞよろしくお願いいたします。
2ヶ月間ありがとうございました。


最後に家族の似顔絵展。

次男。コレはかなり似てます。
PL060917-08.jpg
小学生の時の自画像。
PL060917-10.jpg


長男。まあまあの出来。
本人は「ちがう」と言ってますが。
PL060917-07.jpg
自画像?????
PL060917-03.jpg

夫。長男3歳?の作。
ネクタイはおしゃれなデザインです。
PL060917-09.jpg

私。次男4年生の作。現在はプラス5kg。
PL060917-01.jpg

投稿者 MCAT : 23:55 | コメント (10)

著作権

このブログを書いていて、著作権に関して気になった時に、その都度調べてみたことを、簡単にまとめてみます。もちろん著作権の全容を網羅していませんし、基礎的なことだけです。このブログの今後の筆者の方々や、ご自身のブログを書いていらっしゃる方々の、ほんの少しのご参考になればと思います。

著作者人格権及び著作権は、著作権法(1970制定)・知的財産基本法(2002年制定)などによって守られています。著作者の人格的価値を保護するために著作者人格権があり、著作者が自分の著作物を他人に勝手に利用されないための権利として著作権があります。
著作権は、工業所有権のように登録などの手続きを必要とせず、著作物を創作した時に自動的に発生し(無方式主義)、著作者の死後50年まで存続します。他人の著作物を権利者の許諾なしに利用すれば権利の侵害となりますが、被害者が告訴することによってはじめて提訴される親告罪です。
著作物は私的な財産ですが、外部に発表されているものである限り、他人に利用される場合もあります。著作権法では、利用の公益性を考慮し、ある一定の条件を満たしている場合には、著作権の制限を規定し、著作物を自由に利用することを認めています。

ブログ作成に関連して、基本的なことをまとめてみます。
著作権に関しては、多種多様な組織・団体が(個人も)見解を出していますが、それぞれに微妙に相違もあり、一概には判断しきれない部分もありました。

●著作物
著作権法第2条1項1号に、著作物とは『思想又は感情を創作的に表現したものであって……』とされているとおり、誰がどのように表現したものであっても、他人が知ることができるように外部に表現された創作物であれば、著作物といえます。創作性が認められれば、ホームページやブログも著作物です。
しかし、例えば、表題・キャッチフレーズ・題名は、通常は保護されないという見解(社団法人 著作権情報センター)や、『見出しにも新聞社としての創意・工夫が込められており、著作物である』(社団法人 日本新聞協会)という解釈もあり、一概に言い切ることはできません。

●転載
他人の著作物をそっくりそのまま利用するには、著作権者の許諾が必要になります。

●引用(言語の著作物の場合)
下記の5点を満たしていれば、著作権者の許諾なしに、著作物を引用することができます。
(1)著作物の中で、本文が「主」、引用部分が「従」でなければなりません。創作性のある本文の中に、説明・補強のために必要な他の著作物を利用するというのが引用です。
(2)引用部分の量が、本文より少ないことも必要です。
(3)原文をそのまま使い、原文を書き換えたり、削ったりしてはいけません。同一性保持権を侵害する可能性があります。
(4)引用部分をカギカッコなどで括り、明示する必要があります。
(5)引用部分の著作権者名と著作物の題号、新聞の場合は日付など、出典を明示しなくてはなりません。

●翻案・抄録(言語の著作物の場合)
もとの著作物を見なくてもその全内容がわかるように要約したものは、著作権法上の翻案に当たり、著作権者の許諾が必要であると言われています。また、作品の存在を知らせる目的で書かれる短い要旨などは抄録と考えられ、翻案には当たらないと言われます。が、これらも一概には言えず、判断は難しいです。

●画像の著作権
写真、イラストなどの画像も著作物ですので、無断の転載はできません。
著作権料が無料で自由に使ってもよい画像でも、著作権自体は放棄していないものがほとんどです。著作権表示を義務づけているものもありますので、画像を使用する場合は、使用条件を確認することが必要です。
著作権はなんら表示をしなくても法によって保護されるのですが、逆に、使用は自由でも
著作権を放棄していない他人の画像を使っている場合、ホームページやブログなどに、All copyright reserved by …… というような表示をすることはできません。

●HTMLソースの著作権
HTMLで作られるページのレイアウト(中に書かれた文章ではなく)は著作物とは認められないと考えるのが一般的のようです。が、「サイトのコンテンツをHTMLソースごとそのままコピーすることは禁止する」旨の表記をしているサイトもあります。


女性技術士の会のホームページには「禁無断転載」のお断り書きが明示されていますが、これがなくても許諾なしの転載は著作権法によって禁止されていますし、引用は許されています。


余談になりますが、著作権に関連して3つばかり。

ディズニーの「ライオン・キング」は手塚治虫の「ジャングル大帝」を模倣したのではないか、と話題になったことがあります。その際、手塚治虫の著作権を管理している手塚プロダクションは、盗作であるかどうかに関係なくディズニーを告訴しないことにしました。「仮にディズニーに盗作されたとしたら、手塚治虫は訴えるどころか喜ぶはずだから。手塚治虫はディズニー・ファンであった」というのが理由です。手塚治虫の長男である手塚眞氏は、「ディズニーへのバッシングに荷担したくないこと」「文化は模倣によって成立すること」「ライオン・キングには白いライオンは登場しないこと」などなどを上げて、問題視していないことを説明していました。

青井汎氏は著作「宮崎アニメの暗号」(新潮新書)の中で、「となりのトトロ」はスペイン映画「ミツバチのささやき」に酷似していることを指摘しています。この新書を読むと、たしかにそっくり(!)と言うべき内容です。しかし、青井氏はこれを、模倣あるいは翻案映画とは言わずに、換骨奪胎、変奏曲と呼んでいました。

藤原定家が「詠歌大概」に、「本歌取り」に関して記しています。
「取り過ぎ」はよくない、2句を超えて取る場合でも、せいぜい2句プラス3、4字くらいまでが許容範囲である、とのことです。
「量的に半分以下」というのは、著作権法の引用の規定と同じですね。
藤原定家の著作権は当然ながら既に切れています。

最後に、著作権に関連する組織・団体をリストします。何かの時にお役にたつかもしれません。
・社団法人 著作権情報センター
・社団法人 日本複写権センター
・有限責任中間法人 学術著作権協会
・デジタル時代の著作権協議会
・社団法人 日本新聞協会
・新聞著作権協議会

投稿者 MCAT : 22:15 | コメント (1)

2006年09月15日

古民家再生

PL060915-01.JPG今から約150年前に建築された古民家を再生しています。
敷地約1ha、木造の農家の屋敷ですが、父子歴代の地域の名士のご自宅だったところで、ご遺族が、地域の文化向上のためにと、自治体に寄贈されました。今回の再生事業では、音楽、美術、園芸など芸術文化全般に造詣が深かった父子にゆかりのあるテーマを取り上げて計画を進めています。
2階建てだった「母屋」は、古材を利用しながら本格的に改修され、クラシック音楽のコンサートを開催できるホールとし、「離れ」は地元料理を堪能できる部屋、「茶室」はお茶会などもできる集会施設に、「長屋門」は曳き家をして改装し売店などになります。
また、著作を出版されるほど園芸に造詣の深かった息子さんが育てた花壇の跡地は、地元市民の方々が美しい花園に仕上げてくれることになっています。

地域環境の中で生まれ育った樹木が、材木に姿を変えて人々の暮らしを支え、最後にはまた土に還っていく。かつて、日本人の生活はこうした自然のサイクルに支えられていました。
現在、私たちは経済のサイクルに飲み込まれ、大量生産・大量消費・大量廃棄を当然のごとくに享受し、その結果として、地球温暖化を始めとする、危機的な地球環境問題の現状にさらされています。
自治体からの与条件として、交流施設としての機能や施設運営のアイデア、外観デザインの美しさとともに、環境貢献の視点も必要とされました。私たちは、太陽光パネルを屋根に設置した新しい施設ではなく、古民家をそのままできる限り利用して再生するという方法を選び、提案しました。このコンセプトが自治体に評価され、今回の事業に結びついたのです。

さて、2006年9月15日、その建設現場へ打合せに行ってきました。

PL060915-15.JPG PL060915-12.JPG
2004年、計画を始める前の事前調査。草ぼうぼう。
ここから始まります。

PL060915-11.JPG PL060915-04.JPG
写真では分かりにくいですが梁に古材を使っています。
古民家再生は、熟練・経験を必要とする特殊な技術に支えられています。基本設計の最初の段階から、専門家チームとのコラボレーションで計画・設計を進めました。

PL060915-02.JPG PL060915-03.JPG PL060915-09.JPG
渋い色味の瓦です。現在使われているものより一回り大きい規格です。
瓦は建物に再利用できなかったので、瓦側溝や庭園に利用する予定です。

PL060915-07.JPG PL060915-10.JPG PL060915-05.JPG
庭園に使われていた景石、束石、御影の敷石など。さすが名士のお屋敷の石。素晴らしい材ばかり。
新しく造る和風庭園、茶庭に使います。

PL060915-06.JPG PL060915-17.JPG
屋敷の庭にサルスベリの古木があり、花の少ない真夏、紅に気高く咲き誇っていました。移植せず、そのままの位置に残すことができて、良かったです。

現在工事中の公共施設で、新聞などに公表されていますが、まだオープンしていませんので、具体的な名称などは、とりあえず明示しないでおきます。

投稿者 MCAT : 22:15 | コメント (4)

2006年09月13日

大人のオアシス

勤務地から歩いて15分ぐらいのところにイタリア文化会館があります。

ここの1階のホールでは、定期的に美術展が開催されています。15分ぐらいで一通り見ることができるぐらいの小ぶりな企画、無料ですが、コンセプトはしっかりしていて、質の高い作品が展示されています。

わざわざ時間を作って出向くほどではないけれど、外出の帰り道に少し遠回りして立ち寄ると、とっても得したような豊かな気持ちになれる空間です。

PL060913-04.jpg PL060913-03.JPG 060510-008.JPG
(イタリア文化会館の外壁の「赤」の是非が問われています。皇居周辺の景観に調和しないと、周辺住民が反対署名をしました。イタリア人建築家は、格子のパターンと漆の赤が日本のイメージだと主張していますが……。)

美術展示に限らず、このような街のスポットが、身近にぽつぽつあるといいなぁ、と思います。

0009282.jpgカザルス・ホールやサントリー・ホールは、ランチ・タイムに気軽にパイプオルガンの音色を聴くことのできる場所でした。が、最近では、遠方からわざわざ来る人が開演前から並んでいたり、有料になったりで、だいぶ様変わりしてきました。

00012317.JPG大丸東京店の Books & Café。
本はほどほどの品揃えですが、Café の席に、まだ買っていない本を持ち込んで自由に読んでもいい(買わなくてもOK?)、というのが魅力です。ほとんどが連れのいない1人のお客さんです。


今、イタリア文化会館1階ホールでは「クロチェッティ展」をやっています。
イタリアの具象彫刻家、1913―2003。

「15分ぐらいで一通り見る」と冒頭に書きましたが、素敵な作品が多く、今日は2周して40分ぐらいうろうろしまいました。
PL060913-01.jpg

060913-021.JPG 060913-029.JPG


投稿者 MCAT : 23:13 | コメント (3)

2006年09月12日

秋の七草

秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花

萩が花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また 藤袴 朝貌の花

山上憶良 万葉集・巻八


hagi.jpg susuki.jpg kuzu.jpg nadeshiko.jpg
ハギ ススキ クズ ナデシコ
ominaeshi.jpg fujibakama.jpg kikyo.jpg
オミナエシ フジバカマ キキョウ


春は七草粥を食べて無病息災を祈るといわれる通り、春の七草はすべて食用の草です。一方、秋の七草は、夏から順番に咲いていく姿を眺めて楽しむ草花です。

春の七草の覚え方、「せり なずな ごぎょう……」は、「水金地火……」に匹敵するぐらい世の中に知れ渡った暗記術ではないでしょうか。
山上憶良の歌は別として、秋の七草の覚え方の定番というのはあまり聞きません。
調子よく覚えられる暗記術はないものでしょうか?
どなたかご存知の方がいらしたら、是非教えてください。

上記、秋の七草の画像は、
koyomis.gif「こよみのページ」(http://koyomi8.com/)
から、許可を得て転載しました。

投稿者 MCAT : 22:40 | コメント (3)

2006年09月11日

9・11

世界貿易センタービルの崩壊の映像を見た時、いいえ、そのずっと後までも、本当に起こったことと信じることができませんでした。
古くは「タワーリング・インフェルノ」から「ダイ・ハード」「ファイト・クラブ」など、人為による大都市の惨事の映画は数多くありましたが、これほどまでの大惨事は、どんな映画でも描くことはできませんでした。
事実は小説よりも奇なり、陳腐な諺をひくまでもなく、人が現実に起こした事件が、人の想像の産物をはるかに凌駕したのです。

PL060911-03.JPG

世界貿易センター(WTC)は、日系2世、アメリカを代表する建築家ミノル・ヤマサキ氏によって設計されました。
ヤマサキ氏のパートナーであった構造設計者は、航空機の衝突の衝撃を考慮して構造設計を行っていました。以前に飛行機がエンパイアステートビルに衝突する事件が起きており、 WTCビルは大型の旅客機が衝突しても、その衝撃では、崩壊しないように設計されていたのです。実際に、旅客機の衝突によって、直ちにビルが崩壊することはありませんでした。

では、なぜWTCビルは崩壊したのでしょうか?
一言で言うと、火災による鋼製部材の強度低下です。
旅客機の衝突の衝撃で、構造部材の耐火被覆が脱落し、消化設備は破壊されたと考えられます。そこへ、離陸後間もない大量の燃料が放出され、大火災が発生しました。鉄骨が溶けんばかりの高温の環境下、構造材は耐力を失い、上層階荷重を支えることができなくなって落下し、その落下荷重に下層階が耐えられなくなる、その連鎖で順次下の階が潰されていきました。その結果、あのように、ビルは横に倒れることなく真下に潰れていったと考えられます。いわゆるドミノ崩壊です。

旅客機の衝突後、1時間もビルが持ちこたえたのに、結果としては、避難できなかった人が多かったのは、避難階段が破壊され、あるいは火災で機能していなかったからだと考えられます。事務所として使える(賃貸できる)面積を少しでも多くとるためにセンターコア方式が採用されており、避難階段が平面的に分散していなかったことは致命的でした。

また、ヤマサキ氏は、現代の生活はめまぐるしく変化しており、ビルの寿命はせいぜい20年程度、機能的に不適当になった際に、合理的に壊せるように設計することも重要である旨を述べていました。この点によって、WTCビルは脆弱さを内在していたと見る向きもあります。

・大型旅客機衝突の水平力に対抗する構造が検討されていたのに、その時、当然起こりうる火災への対応ができていなかったこと。
・経済性を重んじるあまり、避難など安全性に対する配慮が不十分だったこと。
・ビルの機能価値に対する先見の明ともいえる割り切った合理性の追求が、弱点となったこと。

WTCビルの崩壊は、建築設計に携わる者に、さまざまなトレード・オフの問題を提示しています。

なお、WTCビルの崩壊は、「失敗百選」にも取り上げられています。

PL060911-03.JPG

WTCビルの崩壊の跡地は、しばらくの間「グラウンド・ゼロ」と呼ばれていましたが、再建のための国際コンペが行われ、アメリカ人建築家ダニエル・リベスキンドの案「メモリー・ファウンデーション」が採用されました。WTCビル2棟の跡地は慰霊の場とし、そこを囲むように数本の超高層ビルが建ち並ぶ計画です。最も高いビルは「フリーダム・タワー」と名づけられ、アメリカ独立の年、1776年にちなんで、1776フィート(約541メートル)、かつてのように世界一の高さを誇ります。2004年に着工し、2010年に完成予定です。

PL060911-03.JPG

2001年9月11日から5年。
同時多発テロは様々な問題に波及しています。
WTCビルと旅客機の爆発崩壊によるアスベストの飛散、重金属による汚染……救助活動、遺体の捜索や瓦礫の除去に携わった人々の健康被害が大きな社会問題となってます。
また、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ人々も少なくありません。

PL060911-03.JPG

同時多発テロによる直接の被害者(死亡)は、約3,000人といわれています。
イラク戦争における米軍兵士の死亡者数は、2006年9月11日現在で 2,670人 と発表されています(米国防総省ニュース)。

投稿者 MCAT : 23:02 | コメント (2)

2006年09月08日

CowParade Tokyo in Marunouchi 2006

今年も丸の内でCowParadeが始まりました。

PL060908-01.JPG PL060908-02.JPG

有楽町で買い物をしていましたら、牛、発見!
懐かしいカラフルな牛です。2003年にも、このような牛たちが丸の内を賑わしていました。CowParadeは、街とアートが一体化する世界最大規模のパブリック・アート・フェスティバルです。

CowParadeは、1998年の夏、スイスのチューリッヒで始まりました。この牛のオブジェをペイントして展示するイベント、思わぬ経済効果を生むことが話題を呼んで世界中に広がり、今年2006年は世界10都市で開催される予定です。
丸の内でのイベントは、アーティスト・一般市民・千代田区の中学生が参加して色鮮やかでユニークな牛65頭を作り上げ、街路の歩道、広場などに展示しています。イベント終了時には、オブジェの牛がオークションにかけられることも特徴です。
9月8日現在、始まったばかりですが、入札件数は1件、金額は60,000円でした。

開催期間は、2006年9月6日(水)~10月1日(日)。
CowParade、牛だけに農林水産省が後援しています。

投稿者 MCAT : 22:32 | コメント (3) | トラックバック

2006年09月07日

「科学技術分野における女性の活躍促進」5施策

PL060907-31.jpg PL060907-32.jpg PL060907-33.jpg PL060907-34.jpg

文部科学省では、科学技術分野において女性が活躍する機会を増やすために様々な施策を展開しています。『科学技術の魅力を伝え、ひとりひとりの人材の個性が生きる環境をつくることにより、科学技術分野における女性の活躍促進を支援』することが目的です。
2007年度版の概算要求が8月末に公表されました。5施策の内容は以下で、項目は2006年度とほとんど同じです。

A : 出産・育児等による研究中断からの復帰支援
B : 女性研究者支援モデル育成
C : 研究者・技術者と中高生の交流機会や事例紹介
D : 女子中高生の理数への関心を高める取組みの実施
E : 科学技術分野における女性の進路選択支援事業

女性技術士の会が参画した女子中高生向けの「理系にいこう!」(2006年4月)は、施策C、Dの目指すところの実践そのものですよね。このイベント、文部科学省が後援していました。

PL060907-02.jpg PL060907-03.jpg PL060907-04.jpg PL060907-07.jpg

日本における女性研究者の数・比率は欧米に比べて著しく低い状況(米32.5%、日本11.6% 2005年 文部科学省資料)にあります。また、理工系の学部・大学院において、特に女子の割合が低いのも特徴です。
これらの原因をまとめる下記になります。
● これから科学技術系を目指そうという人にとっての問題
・参考となる身近な事例に乏しい
・将来像が描きにくい
● 既に科学技術系に従事している人にとっての問題
・出産・育児などで、研究活動を継続できない。
・中断状態から復旧する場合、障害が多い。
(今後は、介護の問題がかなり増えてくることと思います。)

その打開策として、文部科学省は具体的には以下のことを実践しようとしています。
●個人に対する支援
出産・育児のために中断した研究活動に復旧するための「研究奨励金」の支給……月額36.4万円……男女対象……2006年:30人、2007年:100人(予定)
●機関・組織に対する支援
「出産・育児など」と「研究」を両立させるための仕組みづくりの支援……勤務態勢の柔軟化、カウンセラー・研究支援者の配置……大学、公的研究機関にて……2006年:すべて大学で10校採択(応募総数36件)
●取組みに対する支援
ロールモデルの事例紹介、進路選択への情報提供、シンポジウム、研究者・技術者と学生の交流、教育・学習の支援に関する調査研究など

これらは公的・研究職への支援であり、民間・実業への恩恵が染み渡ってくるのはいつのことやら……という感もありますが、あまり書き過ぎると個人的な愚痴になりますので……。
なお、上記5施策は、科学技術分野の女性のみを対象とするものではなく、文系を含めて研究者全般を、そして、男性及び男性中心の組織をも支援対象として含むものです。

PL060907-08.jpg PL060907-09.jpg PL060907-10.jpg PL060907-12.jpg

「理系に行こう!」が素晴らしい企画であったことを、今さらながらに再認識しました。

投稿者 MCAT : 23:06 | コメント (1) | トラックバック

2006年09月06日

It's a boy.

CU031_L.jpg秋篠宮家に男子が誕生しました。
おめでとうございます。
皇室に男子が生まれたのは41年ぶりで、「現行」の皇室典範によると皇位継承第3位にあたるそうです。


秋篠宮ご夫妻が、「臍帯血」の提供を申し出られていたことが報道されました。
(毎日新聞 2006年9月6日)

00018211.JPG臍帯血とは、出産の時赤ちゃんの臍の緒とお母さんの胎盤にある血液のことです。一般的には、臍帯血は出産後は不要となり、医療廃棄物として捨てられています。 しかし、臍帯血の中には血液細胞を作り出す「造血幹細胞」がたくさん含まれていることが発見され、この造血幹細胞を活用して、骨髄移植と同様の治療を行うことができるようになりました。しかも、臍帯血の造血幹細胞は、骨髄よりも増殖能力が強いのが特徴です。臍帯血移植は、白血病、再生不良性貧血、全天性免疫不全症、先天性代謝異常疾患などの病気の治療に実用化されています。

0008328.JPG取得された臍帯血は窒素冷却して半永久的に冷凍保存されます。適合する型の臍帯血を必要とする患者さんの要望に応じて利用されています。日本さい帯血バンクネットワークの発表によると、1997~2006年現在までの累計で、3,175例の臍帯血移植が行われています。

0008316.JPG臍帯血移植の最大の長所は、ドナーの負担がほとんどないと言うことです。骨髄移植の場合、ドナーは入院して全身麻酔を行ってから、骨髄から骨髄液を採取しなければなりません。一方、臍帯血の採取は、母体からも赤ちゃんからも切り離した臍帯から行われますので、体につらいことや、苦痛を感じることはありません。、唯一の負担といえば、ドナー(母親)から検査用血液(5~10cc)を採取することだけです。


PL060906-05.jpg私が出産した当時(1989、1993年)には、臍帯血移植のことはあまり話題になっていなかったように思います。もし知っていれば、少しは役に立てたかもしれないと、今更ながら残念に思います。


献血カードと臓器移植ドナーカード。
そういえば、最近、献血していません。

投稿者 MCAT : 20:34 | コメント (5) | トラックバック

第33回技術士全国大会

PL060906-02.jpg 「知の創造」―技術士の役割―
新宿において、第33回技術士全国大会が開催されています。
今回は創立55周年記念大会です。

私は「日本技術士会」の会員ではなく、この大会には参加できませんでした。

参加された方がいらっしゃいましたら、ホットな情報をご提供くださいませ。

投稿者 MCAT : 17:30 | コメント (5) | トラックバック

2006年09月04日

聖家族教会……神は急がない?

2006年6月、聖家族教会「サグラダ・ファミリア」は2026年頃に完成すると報道されました。SPAIN_0012.jpg

「えっ!?」 その時は目を疑いました。

私の学生時代、サグラダ・ファミリアは完成までにあと100年、いや200年はかかる……いやいや、200年後にも完成しないかもしれない、といわれていたからです。当時、未熟な建築学生だった私は、アントニ・ガウディが設計図を残さなかったから……、スペイン人気質も……、日々建設に対峙することそのことが宗教であり、つまり完成させずに造り続けることに意義がある……、などなど、いろいろと考えました。
ガウディ自身も「神は急がない」と語ったと伝えられています。
しかし、理由は至ってシンプル、資金不足だったそうです。

日本人には観光施設のよう思われがちですが、宗教建築ですので、募金・寄付金および施設の入場料が建設の資金源です。そのため、建設は遅々として進まず、永遠に完成しない建物のレッテルを貼られていました。

が、20世紀末、事態は急変します。

1992年のバルセロナ・オリンピックで注目度が急激にアップし、2002年ガウディ生誕150年を記念したイベントが全世界で話題を呼び、2005年ついに世界遺産に登録されて(未完のため登録されないだろうと言われていたのですが……)観光客が爆発的に激増しました。

ガウディは設計図を残さず市電にひかれて亡くなり、跡を継いだ弟子達が作った資料もスペイン内乱で消失してしまう……ガウディの構想通りの建築物を完成させることは不可能となり、それでもサグラダ・ファミリアの建造を続ける意味はあるのだろうか、疑問と議論は尽きませんでした。それでも時代時代の建築家・彫刻家・職人たちの力で、1935年「ご誕生の門」が完成し、現在2006年「受難の門」が完成しました。2008年には身廊部に屋根をかけ教会として利用できるようになるそうです。「栄光の門」が完成すると言われている2026年まで20年、そう遠くない未来です。

完成を見届けることは100%不可能だとあきらめていましたが、10年ぐらいのインターバルでバルセロナの地を踏み、進捗状況を追いかけていこうと真剣に考えていました。
それが、20年後、決意(?)どおりにいけば、これから2、3回行くうちに完成をみることができるなんて……。
嬉しいような、信じられないような。


サグラダ・ファミリアには、今まで3回ほど行ったことがあります。

● 1985年1月、初めてバルセロナに。
せっかくなのでサグラダ・ファミリアが窓からみえるホテルに滞在しました。
PL060904-09.jpgPL060904-07.jpg PL060904-15.jpg PL060904-16.jpg
学生時代の写真はどこにいったやら。これぐらいしか見つかりません。
それでも完成版のファサードと1階平面計画がわかる貴重な資料です。

● 1991年1月、2回目。
出張で行きました。
PL060904-11.jpg PL060904-10.jpg
ご誕生の門。 ディテールがとにかくスゴイ!ですよ。
劣化も始まっています。
5.jpg
受難の門のキリスト像。新しい解釈・造形のキリスト像が話題に。
見ればすぐわかりますが、ご誕生の門と受難の門のデザインのトーンの違いは、かなり歴然としています。

● 2002年3月、3回目。
建設がずいぶん進んでいることにびっくり。
020326-124.JPG 020326-153.JPG
一番古いご誕生の門のファサードと 、新しい植物モチーフの列柱。
020326-143.JPG 020326-142.JPG 020326-152.JPG 020326-156.JPG
建設資金が潤沢なので、仮設を広範囲に組んで、建設工事は加速するばかり。
鉄筋コンクリート造の配筋も見られます。


現在の問題は、高速鉄道AVEが、サグラダ・ファミリアの直下に全長約6kmのトンネルを建設する計画をたてていることです。スペイン政府は「建設工事中に地盤がぐらつくなどの懸念はない。教会への影響はほとんどない。」とコメントを出していますが、教会関係者は猛反対しています。


020327-038.JPG
お馴染みの4本のとうもろこし。2002年旅行中のスケッチ。

投稿者 MCAT : 20:23 | コメント (4)

2006年09月02日

リーダーシップの進化

「be on Saturday」 2006年9月2日版に、興味深い記事がありましたので、ご紹介いたします。

アンドレア・ジュング氏(47歳)、女性、カナダ生まれ、中国系移民の1世。
化粧品会社エイヴォンの会長兼CEO(最高経営責任者)。

ジュング氏のNYのオフィスには、4つの足跡を印した盾が飾られていて、その盾には、「リーダーシップの進化」とあるそうです。
1st : 猿の足あと
2nd : 裸足の男の足形
3rd : 男の靴の跡
そして最後
4th : 女性のハイヒールの跡

PL060902-02.jpg
(こんなのかしら? これは全くの想像で描きました)

保守的な会社であったエイヴォンにおいて、1999年にCEOになったジュング氏は、「女性初」「アジア系初」など初尽くしで、大改革や独創的な経営手腕を期待され、そして、実行してきました。一方、彼女は「女性のための会社」という創業以来の企業理念を大切にすることを第一としています。『自分が生きがいを感じて、情熱を傾けられる』ような会社にしていくことが、世界に500万人以上いるエイヴォン・レディーにとっての最高の刺激になると考えています。
仕事のために家庭を犠牲にしたり、家庭のために仕事を犠牲にするのは致し方ないことだが、致命的にならないように、とのアドヴァイスもありました。

ジュング氏の営業戦略は、充分なマーケティングと女性の現場を重視していることが特徴です。
それまで社内でタブーだったインターネットを大英断で活用することにしましたが、訪問販売による顧客との信頼関係を主軸に据え、その営業力をエイヴォン最大の強みだと考えています。世の中が高度情報化されればされるほど、人々はハイタッチな触れ合いを求めるはず、とジュング氏は分析します。また、エイヴォンは他社がしのぎを削る大都市圏ではなく、周辺の中小市町村をメインのターゲットにしています。その際、商品(化粧品)を提供するだけでなく、その地域に女性の就労の機会(エイヴォン・レディー)をも提供するということに意義を見出しています。

エイヴォンといえば、ピンポ~ンのエイヴォン・レディーをすぐ思いつくように、訪問販売による、専業主婦だった私の母親世代をターゲットとするちょっと古臭いブランド、という印象を持っていました。すみません! そう思っていた私の方が古臭いと言えそうです。

投稿者 MCAT : 14:54 | コメント (3)

2006年09月01日

おわら風の盆

PL060901-06.jpg

二百十日の初秋の風が吹く頃、「おわら風の盆」が幕を開けます。
編み笠を被り、涼しげな凛とした揃いの浴衣で踊る姿は実に優美であり幻想的でもあります。哀愁溢れる胡弓の音色が坂道に流れ、三味の調子に促され、ひとりまたひとりと町流しに人々は連なっていきます。
……とまるで見たことがあるかのような話ですが、実は見たことはありません。八尾町にあるおわら資料館で映像を何度か見ただけです。

PL060901-02.JPG
立春から210日目(9月1日前後)は古来より台風襲来の特異日とされ、稲作地域である富山県八尾町では、その日、吹く風を唄や踊りで迎え、収穫前の稲が風の災害に遭わぬよう神様に祈る、地域単位の行事、おわら風の盆を行っています。
現在、風の盆は、歌謡・ドラマ・小説などにも頻繁に取り上げられ、その知名度は全国区です。
・2002年、NHKの芸術祭参加作品「風の盆から」で大ブレークしたようです。
・直木賞作家、高橋 治の「風の盆恋歌」も有名ですよね。
・石川さゆりの「風の盆恋歌」もあります。(演歌)
・最近では「愛の流刑地」、八尾はふゆかの出身地という設定です。
2005年度は、3日間の合計で21万人の人出がありました。おわらを行っている11町内の人口が約5,000人ですから、この記録は驚くべき数字です。艶っぽく幻想的な情感が魅力のはずのおわらですが、この人出の記録を見ると……。地方(じがた)と呼ばれる踊り手ではなく、観光客を観に行く結果になるのでは……と疑り深くなってしまいます。

八尾町には、2003年、仕事で数回行ったことがあります。
PL060901-01.JPG
八尾の町の景観は、石畳の坂道に木造家屋がびっしりと建ち並ぶ街並みです。細い坂道とその脇に続いていく路地の連続。

PL060901-03.JPG
地域性を大切にしており、新しく建設する住宅でも伝統的な木造住宅の技術を継承しようとしています。

PL060901-04.JPG
おわら資料館に展示されていた歴代のおわら風の盆のポスター。

PL060901-05.JPG
編み笠をデザイン・モチーフとした照明器具。

投稿者 MCAT : 20:14 | コメント (3)